こんにちは。アラフォーでバレエ留学したもふこです。
日本ではバレエの先生になるのに特別な資格は不要です。極端な話、もふこも明日から「職業はバレエ教師です」と言えばバレエの先生になれます。しかしヨーロッパでは先生になるのに学位が必要になります。全員Methodology、解剖学、栄養学などを勉強して、模擬授業なども経験し、論文を書いて学位を得て先生になっています。
Methodologyとはは、各パの方法論と指導法を学ぶ科目です。
メソッドを学ぶ、とはどういうことをするのでしょうか。
- バレエの指導法に興味がある方
- ワガノワメソッドに興味がある方
- 今バレエの先生をしている方
- これから留学したいと思っている方
この記事を書いている人
Methodologyで学ぶこと
Methodologyでは、「方法論」と「各パをどのように指導するか」、を徹底的に学びます。そして実際に1-8年生の生徒に模擬授業を行います。
もふこにはこれが非常に辛かった。。。低学年はできることが少ない、英語が通じない、教えの経験がほとんどない、というナイナイづくしで非常に苦労しました。
模擬授業は、例えばもふこはプリエ、タンジュ、ジュテ、もう一人の同級生がロンドジャンプ、アンレール、フラッペなどと分担してコンビネーションを作っていって、実際通常クラスで生徒にやってもらいます。もちろん自分で順番を見せて、実際の指導もします。センターのコンビネーションもポアントのコンビネーションももちろん同様です。
順番はピアニストにも生徒にもわかりやすくしなければなりません。当然Methodologyの教科書に載っているポイントも抑えなければなりません。英語で先生としてレッスンするのはめちゃくちゃ難しい!!
Methodologyの教科書に書いてあること
私が学んだMethodologyの教科書は7冊に分かれています。1年生から6年生までが各1冊ずつ、7年生から9年生までが1冊、となっています。1年生が一番分厚く、だんだん薄くなります。
Methodologyの教科書には、各学年で指導される各パの詳細な説明、使う音楽のテンポ、何拍子の音楽を使うかが詳細に記載されています。
例えば、1年生の一番最初は足のポジションについて書いてあります。
- 足のポジション:1番、2番、4番、5番
- 足の1番ポジションと2番ポジションを使ったコンビネーション
- 両手バー
- 4小節・4/4拍子
- M 66
Mはテンポのことです。Beat Per Minutes(1分間に何拍打つか)のMで、66だと1分間に66拍。Youtubeでこんな動画を見つけました。実際のM66がどのくらいのスピードかわかります。
最初のポジション :足は1番、両手バーで顔は前
プレパレーション :4小節ポーズ
1小節目 :1,2 で右足を横にスライドさせつま先がオンポイントにする
3,4 で ポーズ
2小節目 :1.2 で踵を床まで下ろす
3,4でポーズ
3小節目 :1,2で踵をあげてつま先をオンポイントにする
3,4でポーズ
4小節目 :1,2,3,4で1番ポジションに戻る
*左足も同じ
このように、どのカウントでどの動きをするのか明確に決められています。このような説明が全てのパについて詳述されているのがMethodologyの教科書です。
カウントと動きだけではなく説明もあります。
バーの持ち方と立ち方についての説明
- 腕を45°(に曲げた状態)でバーから腕の長さのところに立つ。
- 両手はバーの上に肩幅程度の間を開けて優しく置く。
- 親指は他の指の横に置く。
- 肩と骨盤をバーと並行にする。背骨を真っ直ぐにして肩をリラックス(下ろす、という意味だと思う)。顔は真っ直ぐ前をみる
もふこは親指をジュースの缶を持つようにバーの下からつかむ感じで持っていたのですが(どこかで先生にそうしろと言われた)それは間違っていたのですね。。今更変えるの難しいなぁ。。。
次は動きについての説明です。
- 足のポジションを1番から2番に変更するとき、動足を軸足から一直線上につま先がオンポイントになるまで横にスライドさせる。
- 踵を下げる時に足裏全体をロールダウンさせ、軸足の踵と動足の踵の距離を足の長さ程度とする。
- 踵を下げる時、体重を均等に分散させる。踵を上げる時、体重を軸足に移動させる。
- 1番ポジションと2番ポジションは一直線で、4番ポジションと5番ポジションは足が平行になる。
- 3番ポジションはクラシックバレエではほとんど使われないが、指導する。これは伝統的な踊りでより多く使用される。
- 3番ポジションは5番ポジションと同様にキープするが、足は離れた状態になる。3番ポジションは5番ポジションの準備として指導する。
- 全てのポジションで、脚と足は伸びて180°の角度をとる
3番はほとんど使わないけど5番の準備として指導する、と明記されているのが面白いですね。
このように次は4番ポジション、5番ポジションと続きます。
音楽もMethodologyの一部と考える
Methodologyでは、音楽も非常に重要視されています。プリエはこんな感じの曲、グランバットマンはこんな感じの曲、など音楽と動きをセットで身体に覚えさせます。
レッスンは全てピアニストが入って生ピアノで踊るのですが、先生はピアニストにも非常に高いレベルを要求します。
例えば1年生でも、ディズニーとかトトロとかの曲を使うことはありません。音楽もMethodologyの一部なので、然るべきバレエ曲や、ショパンなどのクラシック作曲家の曲が使用されます。
先生はいちいちピアニストに次はデベロッぺですよーとか言わないので、ピアニストは一連の流れを知っておく必要があり、また先生の出すコンビネーションを見てすぐに適切なテンポの適切な曲を弾かなければなりません。
レッスンは毎日あるので、毎日同じ曲を弾かれるのも先生はすごく嫌がります。いろいろな曲を生徒に聴かせたいのです。
ブダペストにはリスト音楽院という有名な音楽学校があり、日本人の留学生も多いです。
そこからレッスンピアニストのバイトにくる日本人の方が何人かいました。日本人は時間を守り真面目なので重宝されているようでしたが、バレエのレッスンの伴奏はそれだけでかなりの勉強がいる特殊な伴奏ですし、先生としてはレッスンはバレエの先生とピアニストの二人三脚で作り上げる、という意識もあるので、バイトの学生ではなかなかうまくいかなくて先生から追い出される、というようなこともありました。
その代わり優秀なピアニストは先生から指名が入りますし、大変感謝されます。
Methodologyの教科書は先生たちのバイブル
Methodology教科書はまさにバイブルです。先生たちはこれを肌身離さず持っていて、普段のレッスンも、学期末のexamもこれを見ながらコンビネーションを作ります。
普段なんとなくこなしている動きが一つ一つ言語化されているものを英語で読み解くのはかなり大変な経験でした。さらに読み解いたものを頭に入れて実際未来ある生徒に向かって模擬授業するのは本当に至難の業。。
これをみるとやはりクラシックバレエというのは自由度はそれほど高くないなと思います。あるべき場所に、正しいタイミングで足や腕や顔を持っていく。その組み合わせでできているのです。
留学期間中は毎朝のレッスンとこのMethodologyを並行して実施するので、Methodologyで学んだことをレッスンで実践できるのはよかったです。
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最後に
これから本気でバレエを教えようとしている方、自分のバレエを見直したい方は一度メソッドをガッチリ学ぶ、というのはとても意味のあることだと感じました。
特に若い先生たちはできれば海外でメソッドを学ぶと将来どの教室でも自信を持って教えることができると思いますし、海外でバレエを教える道も開けるのではないでしょうか。
アラフォーバレエ留学までの道のり
アラフォーのバレエ学校生活
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