こんにちは。もふこです。
横浜バレエフェスティバルに続き、NHKバレエの饗宴に行ってきましたので感想です。
今年の目玉はなんと言っても永久メイさんではないでしょうか。彼女の踊りを生で観られるなんて本当に幸せな時間でした。
<2022/9/26追記>
記事内でも気になる気になると書いていた永久メイさんについて、2022/10/5にマリインスキーバレエのジゼルに主演されると公式ホームページに出ています。
<公式サイトより>
団員紹介のページにはお写真はなく、上記のMay Nagahisaをクリックするとバレエ団の所属が-2022となっています。ゲストという扱いなのでしょうか。気になるところです。
<公式サイトより>
厳しい情勢が続きますが、メイさんの決断を応援したいと思います。
横浜バレエフェスティバルについてはこちら
Variations for four
- 厚地康雄さん (元バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 プリンシパル)
- 清瀧千晴さん(牧阿佐美バレエ団 プリンシパル)
- 猿橋賢さん (イングリッシュ・ナショナル・バレエ ファーストソリスト)
- 中島瑞生さん(新国立劇場バレエ団 ファースト・アーティスト)
アントン・ドーリン振付。女性4人で踊るパ・ド・カトルを振り付けた方の作品で、男性版のパ・ド・カトルという位置づけとのことです。
Program Notesには4人それぞれ、地・風・火・水の名が与えられている、と記載がありますがなるほど、衣装の色がそれを現していたようです。
幕が上がると黒くて長いマントで身を隠した4人が立っており、マントをとると赤や青のそれぞれの色の衣装を着ていることがわかりました。ただちょっと個人的にはウルトラマン?って感じがしましたが・・かなりぴかぴか輝いていた。
女性のパ・ド・カトルと同様、最初に4人で踊り、その後それぞれのバリエーションがあり、最後にまたみんなで踊るという構成でした。
Program Noteに「テクニックを競い合う4人の競演」と書かれています。なるほど、確かに難しいジャンプや回転の組み合わせが散見されました。
正直にいってみんな結構しんどそうだったと言うか。。あぶなっかしい感じの場面もあり。3階席で観ていたせいでしょうか。決めるべきところが決めきれないような。
個人的にはあまり印象に残らない感じというか、なぜこれを一番にしたのかな?という気がしました。次のパ・ド・カトルへの期待が大きすぎたせいかもしれません。
Pas de quatre
- 中村祥子さん(Kバレエカンパニー名誉プリンシパル)
- 清水谷実喜さん(英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 プリンシパル)
- 菅井円加さん(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)
- 永久メイさん(マリインスキー劇場バレエ団 ファースト・ソリスト)
会場にいた全員がこの作品を目的に来た、と言っても過言ではないのではないかと思います。
豪華すぎるパ・ド・カトル。特に皆さんご存じ、永久メイさんはマリインスキー劇場バレエ団で主役を踊るという今までは想像もできなかったことを成し遂げている方です。ウクライナ侵攻により古巣のモナコに滞在されていたようですが、今後の進路が気になるところです。
幕が上がると昔のおそらくオリジナルキャストであるマリー・タリオーニ、カルロッタ・グリジ、ファニー・チェリート、ルシル・グラーンを描いたであろう絵画が背景に浮き上がり、その下に4人がポーズをとっている。これだけで鳥肌が立つくらい美しかった。
最初に4人で踊っている姿でもう涙でした。
腕の動き一つ一つ、足先の動き一つ一つに無駄な力が入っていなくて本当に羽が生えてるのかってくらい軽やか。そして決めるところはピタッと決める。
永久メイさんはアラベスクにロシアバレエ感がでていた。
タリオーニ役は頭にでっかい花のわっかを乗せ、首にはパールのネックレスという日本人にはだいぶ着こなしの難しい衣装だと思うのですが(頭がよりでかく、首がより短く見える)、さすが中村祥子さんは手足も長いし首も長いので衣装も違和感なし。
水谷実喜さんの役は金子扶生さんだったのが小野絢子さんに代わってさらに水谷さんに代わりました。そのため出演はこの作品のみ。水谷さんの踊りもう少し観たかったです。
菅井円加さんは、パワフルでかっこいいイメージなのでロマンチックチュチュの作品のイメージがなかったのですが(ジゼルは意外と似合いそうな気がする)、ここでは役を再現しようとしていたように感じました。個性をだしていたというか。
踊り方で他の3人と差別化がはっきりされていた。円加さんは後のドンキでも感じましたがジャンプの滞空時間がずば抜けています。特に、コーダでのパドシャはスモールジャンプなんですが、他の人より空中にいる時間が長く、ジャンプで止まっているようにさえ見えます。これはすごい。
永久メイさんはWorld Ballet Dayで、「メイは体重がないみたい!」と解説の方に言われていましたが本当にそう思いました。天使?なのか?
長い腕が本当に美しい。オーラもすごい。舞台が狭く感じます。
はかなげなんですが、弱いわけではなくて体幹がものすごくしっかりしているのだと思います。バレエを踊るために生まれた人っているんだなぁと思いました。日本で観られることに感謝。。
前述のとおり、進路が気になるのですが、日本のバレエ団に入ってほしくないな(入らないと思いますが)かといってどこが合うのかなと考えたらやっぱりマリインスキー以外考えられませんが、どうなるのでしょうか・・
中村祥子さんはさすがの貫禄でした。最後のアンダンテでも感じましたが足を一歩だしただけで本当にキレイ。
パ・ド・カトルのコーダは4人が背中合わせでエシャペをするのですが、エシャペをしているだけで人を感動させられるってすごいです。
見ごたえがたっぷりで目が足りない。
最初の男性4人と比べるのはおかしいのかもしれませんが、決めてほしいところをピタっと決めてくれる、そこがとてもよかった。
想像しているパ・ド・カトルをはるかに超えていました。
そしてどの作品もそうでしたが、もっと見たい人たちの作品はあっという間に終わってしまう…。
本当にチケット取って良かった。バレエやっていて良かったなぁと心の底から思いました。
牧神の午後への前奏曲
- 小尻健太さん
- 柴山紗帆さん(新国立劇場バレエ団 ファースト・ソリスト)
- 飯野萌子さん(新国立劇場バレエ団 ソリスト
平山素子さん振付。舞台上に配置された何枚かの鏡が効果的な演出でした。これは正面から観た方がより良かったかもしれません。
ほとんど小尻さんが踊っているのですが、すごく表現豊か、身体能力もすごい。
何かに迷っている、惑わされている?ような踊り。
あまり現代作品を観たことがなかったのですが、コンテをこんなに豊かに踊れるダンサーがいるんだなぁと感じました。
ウェスタン・シンフォニー
これはバランシンの作品で、大昔にニューヨークシティバレエ団が踊る様子が放送されたので観たことがありました。
ここでなぜこの作品を選んだのかな?
リズムが単調で長いのでちょっと微妙でした。全体から見てもちょっとこの作品だけ毛色が浮いているような。。バランシンが良いならほかにもいろいろあると思うのですが。
最後の章の男性(誰だかわかりません)のテクニックがしっかりしていて良いと思ったのですが、正直もっと大人な作品が観たかったなぁと思います。
ニューヨークシティのアメリカン!な感じからも少し遠いかなぁと。もっとエネルギッシュだった気がしますがお上品な感じに仕上がっていたかなぁ。
同じような作品ならユニオンジャック、とかの方が好みなのですが。
ロメオとジュリエット」からバルコニーのパ・ド・ドゥ
- 永久メイさん
- ビクター・カイシェタさん(オランダ国立バレエ団 ソリスト)
今回の目玉の一つです。
ビクターさんは永久メイさんと同じ、マリインスキーで踊っていてオランダに移籍されました。
この二人のロミジュリが渋谷で観ることができるとは・・・
シンプルな白い衣装が本当に良く似合う永久メイさん。。長い腕がさらに強調され、その動きがよく見えます。しなやかで美しくて無駄がない、癖もない。
バルコニーはなかったのですがバルコニーが見えた気がw。
ビクターさんの踊りはインスタでしか拝見していなかったので、のびやかで、やわらかくてしなやかでした。開脚でジャンプするときに空中でさらに足が伸びる、ような感じ。ちなみに同様のパを最初のVariations for fourでも、そのあとの何か(ウェスタンかな?忘れました)でも出てきたんでつい比較してしまったんですが。。ビクターさんが最高でした。
体重がないように見えるメイさんのリフトもとってもかるくて危なげない。。一度どこかのバレエ団のロミジュリのバルコニーのシーンを観ていてちょっとリフトが上手くいかなくてひやっとしたことがあるのでいつもどきどきしてしまうのですが、そんなことも忘れるくらいさらっとでした。
お二人が踊ったバージョンでは思ったよりも女性が踊りません。。それがちょっと残念でした。もっとメイさんが踊っている時間が欲しかった。
あっという間に終わってしまいました。これは全幕で観たいです。
現在メイさんの名前はマリインスキーの団員のページにはないです。本当に来シーズンからどうなるんでしょうか。。気になる。
「ドン・キホーテ」からグラン・パ・ド・ドゥ
- 菅井円加さん
- 清瀧千晴さん
横浜バレエフェスティバルで菅井さんにすっかり魅了されてしまったのですが、このドンキもすごかったです。
決めてほしいところは決めてくるのでスカッとするし、バランスもすごい。
エスメラルダのときも感じましたが、余分な味付けをしないので洗練されてかっこいい。
ちょっと残念だったのはお相手ですかね。。もう少し回れそうなのに!とか、かゆいとこに手が届いてない感じというか…。二山さんの時には感じなかったのですが。
赤い衣装がとっても似合っていましたが、白い衣装の方がよかったな。好みの問題ですが。最後のフェッテはいきなりダブルで始まってほとんどダブルで最後まで回っていました。さすが。
菅井さん、この夏は毎週いろんなパドドゥをいろんな場所で踊られていました。パキータ、エスメ、ドンキ、などなどわかりやすくテクニックに目が行く派手な演目が多いですが、ハンブルクバレエ団の中でノイマイヤー作品を踊る菅井さんが観たい。
と、思ったら来年来日公演があるそうです。
この夏日本でがんばってくれたので菅井円加ファンが着実に増えたと思う。チケット争奪戦になりそうですね。。今回のバレエの饗宴も4人がかりでやっとB席だったので頑張らねば。
Andante
- 中村祥子さん
- 厚地康雄さん
振付家の金森穣さんが、中村祥子さんと厚地康雄さんのために創作された作品です。
美しいバッハのバイオリン協奏曲で、シンプルなユニタード姿のお二人が離れたり、一緒に踊ったりします。べったりのデュエットではなく少し距離間のある二人の作品です。
Program Notesに、金森さんが中村祥子さんはポアントをはいている方が美しい、と感じたとあるのですが、まさにその通り・・・前述しましたがシンプルなユニタードのせいもあり足の美しさが際立っていました。
ぐるぐる回ったり、ジャンプしたりするわけではないのですが、高身長のお二人の成熟した魅力が味わえる、何度も見たくなるような作品でした。
最後に
全体の構成にはちょっと疑問なこともあるのですが、行って良かった。台風もあって大変だったのですが間違いなく必見の舞台でした。
永久メイさんのすごさは動画で観るよりはるかにすごい。よい進路が見つかることを心から願っています。
NHKバレエの饗宴は毎年テレビで放送されます!
今年は9月18日(日)午後9時から Eテレ「クラシック音楽館」にて。
絶対要録画です。
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