35歳でバレエ留学したもふこです。バレエ学校って実際どんなことが行われていると思いますか?
今回は、私が留学したバレエ学校の10代でプロを目指している生徒たちがどんな生活を送っているのか、を書きたいと思います。
もふこ自身の留学生活についてはこちら
- 海外のバレエ学校の学生の生活に興味がある
- これから留学を検討している
9年制
私が行った学校は9年制でした。私が一番大好きなバレエ漫画、普及の名作「アラベスク」で、主人公がいるバレエ学校に9年生が追加され、9年生に残るように言われてガーン!となるエピソードを思い出しました。
英国ロイヤルバレエスクールは8年、パリオペラ座バレエ学校は6年、ワガノワバレエ学校は8年のようですので1年多いですね。
ただし、私が行った学校では割と学年は流動的のように見えました。
たとえば、5年生の男子が少ないから6年生と合体させる、みたいなことがあるようでした。
また、海外のバレエ学校ではよくある話だと思いますが、太ってきた子には退学を勧めるというようなこともあります。何ヶ月もレッスンを見学していると、お気に入りの子や応援したくなる子が出てくるのですが、そのいわゆる”推し”の子が退学勧告対象になっていると聞いてショックを受けました。
入学は10歳くらいで19歳まで学校で学びます。低学年は午前中は数学、英語などなどの一般科目を学びます。高学年は、午前中にレッスン、午後に座学、となっていました。ディプロマをとるには最終学年で卒論もあります。最終学年の場合、就活も必要だと思うのでかなり忙しい印象です。ワガノワメソッドを8年間で学び、最後の9年生は卒業試験の準備、オーディション、卒論などに費やす、という感じです。
毎日毎日バレエのレッスンを受ける環境は本当にバレエが好きでプロになりたい、という子には天国です。学校には小さいですが劇場もあり、舞台の機会も多いです。
こりゃ日本にいて週数回レッスンして一年に一回発表会、じゃとてもたちうちできないな、と感じました。
しかし、実際にはハンガリー人の場合国立のバレエ学校に入れれば学費がタダになり、卒業すればある程度のステータスになる、ということを狙って親が入れるパターンもよくあるようです。
その場合、生徒本人はバレエに興味がなく、それがモチベーション低下につながり、先生がてこずる、という場面がありました。
ダンス系の科目
クラシックバレエ、パドドゥ、キャラクターダンス、コンテンポラリーなどの科目に分かれています。最終学年の卒業試験(最後の試験)ではコンテンポラリーの作品もあるので、コンテンポラリーもかなり重要視されています。
学期末に試験がある
2学期制で、学期末に試験があります。一般教科の試験もありますが、一番メインはやはりダンス系の科目かと思います。各学年のクラシックバレエの試験を見学することができました。
バレエの試験では、通常レッスンで行うことをノンストップで最後までやる、という感じです。バーでプリエから始まって、センターを一通りやって、そのあと女子はポワントに履き替えて一通りのコンビネーションを踊る。最後にぐるぐる回って終わり、みたいな感じです。
ワガノワのバレエ試験の動画をYoutubeで観ることができます。レベルは違いますが流れとしては同じ感じです。
先生はその学年で学ぶ要素+前の学年までに学んできた要素をうまく組み合わせてコンビネーションを作る必要があります。これは結構大変だと思います。習っていないことを入れることは基本はできません。Methodologyの教科書とにらめっこでコンビネーションを考えるようです。
生徒はすべてのコンビネーションを頭に入れなければいけません。
低学年ではほぼ一律ですが、学年が上がると、回れる子はより多く回る機会を与えられたりという違いがでてきます。
だいたい準備には1-2か月かけるようでした。試験の本番では、いろいろな先生がスタジオに集まって、生徒のパフォーマンスを見て成績をつけます。担当の先生が既にこの子は3、この子は5、などのドラフトを作成しておいて先生たちに配っているようです。
これを年に二回やっていたら相当体力もつくし、人前で緊張感の中踊ることにも慣れるだろうなと思いました。
夏にはツアーに行く
6月に学年が終わり、夏休みにはいりますが、ここで近隣の国(スロバキアやクロアチア?)にツアーに行くようでした。
日本人の留学生は、ここで帰国して夏の間は通信制高校のスクーリングに充てる子が多いようです。
夏が終わるとくるみの準備
夏が終わると新しい学年の始まりです。しばらくすると毎年恒例くるみ割り人形のリハーサルが毎日のように入ってきます。2年生くらいからクララとか、クララの友人にキャスティングされるようです。キャストは第一、第二、第三くらいまで設定され、第一キャストが一番上手な子、ということになります。結構シビアですよね。たくさん生徒はいますがクララになれる子は3人。2年生でなれなくても3年生でクララになる可能性はあります。
第一キャストとしてクララになる子も第二、第三キャストのときは他の役を踊るのでお休みではありません。
この学校のくるみは、ネズミの王様に勝ったあとに大人クララに変身するパターンです。
大人クララは8、9年生の上手な子が出てきます。また、アラビアの踊りも結構ガチなパドドゥなので、高学年の上手な子が担う役です。
高学年は基本どこかで雪の精と花のワルツです。
私は日本のバレエ教室で何度雪と花を踊ったことか。なのであんまり好きではなくなってしまいました。。
延々とくるみを上映
11月くらいから延々とくるみを上映します。出ない子は通常レッスンになります。校内に劇場があるのでスタジオと劇場を行ったり来たりする感じです。これがずーっと続きます。
日本の発表会は一回ぽっきりですが、こうやってずーっと延々おんなじ演目を踊ることで、体力を付け、踊りも慣れて熟成されていくのだなぁと感じます。
校内コンペティションがある
2月に校内コンペティションがあります。クラシックバリエーションを踊る、コンテンポラリーを踊る、また自分で振り付けた作品の発表の場でもあります。
3年生くらいの子が自分で振り付けた作品を踊るのを観てその成熟度にびっくりでした。
最終学年の最終試験は卒業試験
最終学年の最後の試験は卒業試験を兼ねており、スタジオではなく校内の劇場で行います。
他の国のバレエ団の採用担当のような人たちを招いて行われます。就職につながる大事な舞台ですので、リハーサルも何度も行います。卒業試験では生徒がソロのバリエーションを踊ったりもしていました。
コンビネーションも舞台映えするように綿密に練られています。ピアニストとの連携も欠かせません。先生+生徒+ピアニストが協力して作り上げていきます。
通常のバーとセンター、ポワントのレッスン後にぐるぐる回ってそのあとにバリエーションを踊る、その体力にびっくりです。。こうやって日々鍛錬していくのだなぁと感じました。
年一の発表会で一か八か、のバババレエとはまったく違う。当たり前ですが。
卒業試験が終わったら、バレエ団のオーディションを受けたり、ディプロマのための卒論制作に時間を使います。卒論はそれほどボリュームのあるものは求められません。
感じたこと
日本で普通にバレエ教室に通うのに比べてレッスンの頻度、舞台の回数が全然違います。ただ学びのペースは日本よりゆっくりです。厳密にワガノワメソッドのMethodologyの教科書にのっとるため、たとえば一年生がダブルピルエットをすることはありません。
2-3年生になるとバリエーションを踊るような子も出てきますが、足を90度以上上げないとか、学んだ範囲に限定された振付になっていました。
9年間かけてじっくりバレリーナとして育てていく、という感じでした。若いころからぐるぐる回らせたり、エスメラルダなどの激烈なバリエーションを踊ることはありません。
日本でも同じですがまずはフロリナあたりからですね。。また、日本では一般的ではない知られざるバリエーションがまだまだごっそりあるようで、いままでみたことがないバリエーションもいくつか見ました。
校内に劇場がある、というのは大きなメリットです。日本で劇場をもっていてスグに使えるバレエ教室ってあるんでしょうか??高校・大学のバレエ科とかならあり?
日本のコンクールの乱立は私は良いと思わないのですが、舞台経験を増やすにはコンクールに出まくるのが選択肢の一つであることは否定できません。ただやっぱり若いころからエスメラルダやキトリを脂っこく踊るのは疑問です。しかし、世界に飛び出したい!と思ったらコンクールで奨学金を得て海外のバレエ学校に行くしかないのか。。
コンクール経由でないならあっちこっちに願書を出しまくってオーディション動画を送りまくる、のもありかもですね。
10代のころにもどってバレエ留学したい!とすごく思いました。当時は留学ならイギリスじゃ!!とかたくなに思っていたのですが当時の自分の頭をたたいてもっと視野を広げていろんな国を見ろ!と言いたいです。
こんなDVDも出ています。
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