2022年7月31日、横浜バレエフェスティバルを観に行ったので感想です。
実は当日の朝まで行くのを迷っていたのですが、前日30日にインスタライブで菅井円加さんと二山治雄さんのリハーサルが公開されたのを観て、行くことに決めました。
場所は神奈川県民会館です。
当日券を買いに行ったのですが、S席の結構真ん中が残っていてラッキーでした。
もふこ的にはバレエを劇場で観るなら前で観ないと意味がない。
第一部
フレッシャーズガラ
正直これがチケットを迷っていた理由です。。予想通り、ちょっとうまい子供のバレエの発表会、という感じ。なので深く触れませんが・・・白いレオタードにフォーサイスの「Vertiginous Thrill of Exactitude」のようなワイヤーが先端を囲っているみたいなチュチュの衣装は、色付きのレオタードの方がいいのではないかと思いました。振付は芸術監督の遠藤康行さんですが、あ、この子がお気に入りなのかな?という感じがする振付でした。
井関エレナさん、松浦祐磨さん 「グラン・パ・クラシック」
とってもさわやかなグランパでした。
井関エレナさんは2018年のヴァルナで賞を取った時に知りました。ベルリン国立バレエの所属。松浦祐麿さんはABTのスタジオカンパニー。
この二人が出てきてようやく本番という感じ。直前がアマチュアの子供たちだったので、プロとアマの違いはなんだろうと思いながら見ました。長年海外のバレエ学校で訓練されてきた方たちと比べること自体おかしいとは思いますが。。
まずは表情が違う。今回出演されていたプロの方たちみんなそうですが、表情にもメリハリがあります。松浦祐麿さんは特に舞台上での表情のプレゼンテーションもすごく素敵でした。
笑顔を張り付けて踊るのではなく要所要所でにこっと笑ってくれます。
そしてつま先とポジションの美しさ。。ザンデールの前の五番のプリエが本当にぴっちり五番。これ、結構崩れている男性いますが松浦祐麿さんも、後で出てくる二山治雄さんもここがすごく美しかった。この時点で迷ったけど来てよかったと思いました。
井関エレナさんも自然な表情でさわやかに踊っていました。特に最後のコーダのフェッテは回転の速度も音楽に合っていて観ていて気持ちがよかったです。
さらっと難しいことをやるお二人・・・
昨年の海賊の映像が公開されています。
第二部
アレクサンドル・カニャさん「白鳥の湖」第一幕よりヴァリエーション
この方はベルリン国立バレエのダンサーで、ものすごーーく長い脚で美しい。オデット姫と出会う前の王子のヴァリエーションを踊りました。期待を裏切らない。気品たっぷりだし、ジャンプもポジションも美しい。
クララ・ムーセーニュさん「くるみ割り人形」第二幕より金平糖の精のヴァリエーション
パリオペラ座バレエ団のコリフェの方です。2021年の昇格試験で上がったようですね。
ちょっと荒いかな、とも感じましたが、難しい振付を緩急つけて踊っていたと思います。オペラ座はオニール八菜さんもいますし、山本小春さんも入団されることが決まったようなんで今後が楽しみですね。
酒井大さん、柳本雅寛さん +81「Gshock」白鳥のグラン・パに乗せて
こちらはマシュー・ボーンのザ・スワンや眠れる森を彷彿とさせる、白鳥の湖の3幕のブラックスワンのグランパドドゥの曲に柳本さんが振り付けたオリジナル作品でした。
もふこはマシュー・ボーンの眠りが好きで2回観に行ってDVDも買いましたアダム・マスケルというダンサーの色気がすごいです。
有名すぎるザ・スワンももちろん良い
作品はLGBTを意識されているのかな?柳本さんを含め、出演ダンサーのレベルも高く、ブレイクの意味合いもあったようですが作品としてきちんと成立していました。
ハンガリーのバレエ学校で少し学んだコンテンポラリーの授業で、お互いを支えあいながら動くような授業があったのですが、あれがこういう風に使われるのだな、という振付がありました。
加瀬栞さん、厚地康雄さん 「眠れる森の美女」第三幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
イギリス!て感じの大人な眠りのパ・ド・ドゥ。加瀬栞さんは本当に、物語から抜け出してきたようなオーロラ姫でした。丁寧で、ヴァリエーションの最後の方のポアントで立ったまま前に前に進むときの手の動きが印象的でした。オーロラの特徴的な振りだと思うのですが、もふこが昔習った先生は、この手の動きはオーロラ姫の成長を現わしているとおっしゃっていて、それがよく現れた感じ。
厚地康雄さんもスタイルが良く品もよく王子らしさ満点で、丁寧に踊っておられました。
全幕が見たいと思いました。
第三部
平田桃子さん、厚地康雄さん 「眠れる森の美女」第二幕より 目覚めのパドドゥ
厚地康雄さん再登場です。個人的には三幕のグランパもよかったのですがこっちの厚地康雄さんはさらに良かったです。
順番的にはこっちを先に配した方が良いのではとも思いました。
平田桃子さんは華奢でばねがあってこちらもイギリスの香りがたっぷり。すごく素敵でした。リフトが軽やか。
お二人ともバーミンガムロイヤルバレエのプリンシパルでした。もふこの大好きなビントレー版のシンデレラはバーミンガムが最高です
菅井円加さん、二山治雄さん「エスメラルダ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
チケットを取った目的がこのお二人でした。既にBright stepの舞台などでSNSでも絶賛されているのを見ました。また、冒頭で書いたように、前日にリハーサルをインスタライブで公開されていました。
まず、菅井円加さんはポアントのこつこつした音が全然しません。それで思い起こせば今回出演されていたプロの方々はみんな音がしていなかったと思います。
菅井円加さんの好きなポイントは必要以上の大袈裟なプレゼンテーションがない、メリハリのつけ方が良いと思うところです。
エスメラルダはコンクール用バリエーションとして有名ですが、本当はどんな風に踊るのか正解がわからないくらいいろいろ味付けされてしまっているという印象です。けっけちゃんが関西風と関東風を比較している動画をだしていてすごく面白いのですが。
今年のローザンヌで、ある出演者がこれを踊ったのをみて、解説の方がちょっと苦言をおっしゃっていたのが印象に残っています。私が見てもやりすぎ、作りすぎ、という感じだったのですが、解説者の方がどこまで本人の意図でやっているのか、指導者の意図がはいっているのか・・・のようなことをおっしゃっていました。
モリモリに盛った暑苦しいエスメも多い中、菅井さんの踊りは大人の余裕、決めるときは決めるけど必要以上のアピールはない。テクニックはきっちり。さすがとしか言えない。
タンバリンの鳴らし方も曲に合わせて変化をつけていて、単に鳴らしてなんぼという感じではなく効果的に使っていました。
本当にかっこ良かった。
二山治雄さんは最初にも少し書きましたが、ジャンプや回転の前の5番が美しい。一回一回きちんと5番に入るからこそすぐに次のジャンプや回転につなげられるのだと思います。
5番から回転するのって結構難しいんですよね。。つい踏み込む瞬間に足が開いてしまいがち。。女性も男性もその辺気になってみてしまうのですが、今回この舞台に出ていた方たち
はみんなそこがキレイでほれぼれ。。さすがでした。
二山治雄さんも、菅井円加さんもジャンプが高くて美しいいのも印象的でした。二山さんは体重どこいったのってくらい軽やか。
去年の映像も公開されています。
総括
子供たちの発表会セクションはお客さんのためではなく本人たちの経験のためだと思うので必要なのかもしれないのですが、まぁ無くてもいいような。。と正直思いました。
あと日本のバレエの発表会の化粧はもう少し進化した方がいいのでは。。全然変わりませんよね。。プロであんなメイクしてる人いないし、もうちょっと自然でいいのではないかなぁ。
プロ組はさすが、圧巻でした。来年も観たいと思いました。
菅井さんを生で観られて本当に良かった。
発表会で荒稼ぎする足も手もぶらぶらなサポート要員の発表会男性ダンサーをいっぱい見てきましたが、当たり前だけどやっぱり本物は違う。。。世界レベルの日本人男性ダンサーのレベルの高さに驚愕でした。
さて、次はNHKバレエの饗宴のチケットを取ってあるので楽しみです!
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