色んな意味でアラフォーに刺さるバレエ漫画9作品

アラフォーのバレエ
もふこ

漫画が大好きで、東欧に興味を持ったきっかけも浦沢直樹さんのモンスターな私です。

 

 

 

オタクな私がこれまで読んだバレエ漫画をご紹介します。感想は独断と偏見にかなり偏っています。「眠りの森」の記事で書いたように、バレエを取り扱った作品は違和感を感じることも多いので迂闊に手を出せず。。特にバレエ漫画はもう表紙を見ただけでうわー。むりーってなるものも多かったのです。

眠りの森(東野圭吾さん作)は大好きです。

 

今回は読んだバレエ漫画と読みたいバレエ漫画について語ります。

 

この記事を書いている人

この記事を書いているのはこんな人です

5歳になるちょっと前からバレエを開始。

父の転勤で新潟に転居、近所の創作バレエ教室に転籍。

新潟で大幅にレベルダウンし、戻ったスタジオの先生に「がっかりした」と言われる。

当時中1だったが、小学低学年と同じクラスに入れてもらい基礎からやり直す

その後コンクールや、地区のバレエ協会の公演に参加。

ハンガリー国立バレエ学校のTeachingとCoachingのコースでワガノワメソッドを学ぶ。
 
 

アラベスク(山岸涼子作)

 

名作すぎる名作です。これまで読んだバレエ漫画の中で一番好きな作品です。これを上回る作品は生きている間には出なそうだな。と思います。

主人公はキエフ出身のノンナ。旧ソ連時代が舞台です。今のロシアとキエフの最悪な状態は見るに耐えませんが、今こそこれを読むと歴史的なこともわかるので興味深いです。

私がバレエ漫画に求めるのはまずは説得力のある絵です。アラベスクは絵が完璧。気になるのはバレエ学校の生徒の髪の毛にバラエティがありすぎるところくらいで、あとは一コマ一コマとにかく絵画のよう。

私が留学したハンガリーのバレエ学校は、9年生でした。これを知った時にこの漫画を思い出しました。主人公が学ぶバレエ学校は途中で9年生になります。

アラベスクの特徴

  • 絵がとにかく美しくてバレエ描写に説得力がある。
  • ロシアバレエの歴史がわかる
  • スリルとサスペンスもある
  • バレエ学校とはなんぞや、の想像が膨らむ

日本では一般的でないバレエ作品も出てきて勉強になりますし、バレエを映像として残す試みあり、亡命あり、コンクールありで本当に深い作品です。もちろん恋愛も。

今の漫画と比較すると絵が劇画っぽい感じもします。

 

SWAN(有吉京子作)

子供の頃に通っていたバレエ教室には先述の「アラベスク」とこの「SWAN」とあと「ガラスの仮面」がありました。私の家は漫画禁止だったので、バレエ教室で夢中で漫画を読みました。

SWANは日本人が主人公。まだ新国立劇場バレエができる前で、日本に国立のバレエ学校ができる、というような描写があって良いなぁと感じた記憶があります。

この作品も画力の説得力が半端なく、おまけに「アラベスク」よりも少女漫画感が強いのでキラッキラです。こちらもやはり、バレエの本場ロシアを絡めてストーリーが進むので、歴史的なところもカバーされていて面白いです。「アラベスク」も、「SWAN」も、スケールがかなり大きい。

SWANの特徴

  • 絵が美しい
  • 男性がみんなイケメン
  • 古典だけでなくコンテンポラリーも盛り込まれている
  • バランシンやロビンスなどにも触れることができる

SWANも絵がものすごく美しく、またバレエを習っている方から見ても変な足の向きとかがないのでそこは安心して見ていられます。ただお話とか、全体を纏う空気のようなものは私はアラベスクの方が好きかなぁ。。SWANの男性陣はみんなイケメンですが、アラベスクはフツーのおっさんみたいな人もダンサーとして出てきたりして妙に説得力があるような。

あとはやっぱり髪の毛が気になる・・・いくら突然舞台に上がるからって髪の毛を全くしばらずに舞台に出ることってありますかね?ただみんなお団子にすると全員同じに見えてしまって読者から区別がつきづらいのであえてそうしているのかなぁ?とも思います。

それでも子供の頃これを夢中で読んで、いつか国立のバレエ学校が日本にもできたら良いのになぁと思っていました。あとは、アメリカバレエに興味を持つきっかけになったのもこの作品です。ロビンスの牧神の午後などの作品がそのまま出てきます。

SWANの続編

 

 

 

子供世代の物語、まいあ

SWANの次世代編、「まいあ」はSWANマガジンでチラチラ読んでいたのですが、ちゃんと読んだことはないので読んでみたいと思います。パリ・オペラ座を舞台にしていたような。

 

ダンシング・ゼネレーション(槇村さとる作)

これもスタジオにあった漫画の一つ。純粋にクラシックバレリーナを目指す、という感じではないのですが、こちらもとても面白いです。友人のオーディションにくっついて行った主人公が合格する、というよくあるパターンですが、クラシックバレエ出身じゃない人たちがたくさん出てくるので、例えば回転の仕方の違いなどを語り合う場面などは興味深いし、なるほどねーと思った記憶がある。

ダンシング・ゼネレーションの特徴

  • 絵に違和感は全くなく、ダンスシーンに迫力がある
  • New Yorkの香りというか、雑多な埃っぽい雰囲気が絵から漂ってくる
  • New Yorkのオープンスタジオで色々な体型の人とレッスンする様子などが面白い

この作品は主人公たちがニューヨークに留学するので、舞台はNYが多く、アメリカの雰囲気がなんとなくこんな感じなんだな、とわかるのが良いです。最後に主人公はパリに留学し、そして次のN★Yバードに続きます。

N★Yバード

実は私の記憶はダンシング・ゼネレーションよりこちらのN★Yバードの方が強いです。主人公がNYに戻って奮闘するのですが、「ダンシング・ゼネレーション」よりも大人というか、恋愛要素も多め。また、よりショーダンスの方に寄っています。

N★Yバードの特徴

  • 前作のダンシング・ゼネレーションを読んでいなくても楽しめる
  • クラシックではなく、ジャズなどショーダンスの世界が垣間見える
  • 恋愛漫画の要素もあってロマンスも楽しめる
  • 劇中作が面白そうで、絵の見せ方が上手い

この作品では主人公が、変拍子の音どりで苦労する姿が描かれます。クラシックバレエは基本決まった形の組み合わせなので、クラシックバレエが染み込みすぎるとジャズやヒップホップのような自由な身体の使い方をするのが難しいのですが音どりについてもそうなんだなと思いました。

また、煮詰まった主人公が指導者から「バーからやり直せ!」と言われて「足、一番・・」と呟きながらバーレッスンに立ち戻るシーンも印象に残っています。この場面で煮詰まっているのは踊りのことだけでなくプライベートなことも併せてなのですが、基本に立ち返る、というのはいずれにせよ大事なのだな、と納得。

 

God Bless You(槇村さとる作)

次も槇村さとる先生の作品です。こちらは一巻で完結しています。

ローザンヌに出場するほどの実力者だった主人公があることをきっかけに踊りに情熱を傾けられなくなり、でも踊りから完全には抜けられず。。そんな時に出会いがあって復活していくお話です。

God Bless Youの特徴

  • 絵が綺麗
  • バイトしながらバレエ団に所属している主人公にリアリティがある
  • 出てくる人がみんないい人
  • 短くまとまっているので読みやすい

この作品は、バレエが生活に染み付いてしまっている描写が面白いです。スーパーで流れている曲が歩きにくいと思ったり、一緒に歩いている人の姿勢が気になってしまったり。

踊りたいけど思うように踊れなくて葛藤する主人公の姿が辛い。でも完全にバレエからは離れられない気持ちもよくわかる気がする。

絢爛たるグランドセーヌ(Cuvie作)

こちらは一番最近読んだ作品です。ちょっと絵が無理だなと思って読んでいなかったのですが、8巻まで読んでみました。

絢爛たるグランドセーヌの特徴

  • 作者の画力の向上が目にみえる
  • 王道のバレエ漫画の流れを踏襲
  • 経済的な大変さがリアル
  • 母親が専業主婦じゃないので現代に合っている

この作品、読んでみてもっぱりあんまり好きにはなれないかな。。作者はバレエ経験があり、結構ちゃんとした監修の人も入っているようなのですが、とにかく最初の数巻は絵が辛い。大コマの見せ場の絵がありえないポーズだったり、ポアントに体重が乗ってるとは思えいペラペラの描き方だったりがちょっと辛い。

ただやっぱり絵は描いていると向上するので8巻くらいから少し説得力が出てきます。

ストーリーは主人公が近所のお姉さんの舞台を見て一からバレエを始めるパターン。この主人公は割とロジカルにバレエに向かうというか分析力が売り。

ただこの手の主人公って回転・ジャンプはすでに得意なタイプが多いような。ダブルが回れないートリプルが回れないーみたいな主人公っていないですね。羨ましいですが一番苦労するのはそこなのでは。やっぱりプロになる子をハンガリーで見て、いっくらバレエは芸術だと言ってもベースのテクニックがないとそもそもバレエ団まで行きません。まぁこの主人公は今後海外のバレエ学校に行ったりするようなんでその辺はクリアになっていて当然の前提なのかもしれませんが。

評価できるのは金銭面の親の苦労やポアントを持たせるのに色々試行錯誤する場面が出てくるところですかね。私もポアントにニス塗ったりしてたなーと思いました。

とりあえず全部読んでみようとは思いますが、動きのある漫画って難しいですね。少年漫画のバトルとか、野球とか、サッカーとか、あとは柔道とか?もきっとみんな相当な画力がいるのだなと思いました。

昴(曽田正人作)

こちらも人気作でしょうか。

これもバレエ漫画の難しさを感じさせてくれる作品です。

昴のポイント

  • 絵に勢いがすごい
  • 現実味はあまりない

この作品はどこで読んだか忘れてしまいました。そして、全部は読んでいないのでなんとも言えないのですが絢爛たるグランドセーヌと同様で絵が私好みではない。こっちは私には濃すぎます。

少年漫画の作家さんなのでいかにもな感じはある。

 

テレプシコーラ

これはアラベスクの山岸涼子先生のバレエ漫画。傑作です。

これは文句なく面白い。設定はアラベスクと同じように姉妹の妹の方が主人公です。

テレプシコーラの特徴

  • 山岸涼子の日本を舞台にしたバレエ漫画
  • ローザンヌ国際コンクールの裏側がよくわかる
  • サスペンス味もあり
  • キラキラなバレエだけじゃないところも描かれている
  • 実用的な表現(音楽のテンポの話など)

テレプシコーラの一番の見どころはローザンヌバレエコンクールの描写だと思います。行って取材されたのでしょうか。かなりよくわかります。

また、ベジャールのせいで誰が作っても同じに見えてくるボレロについても踏み込んでいて面白かった記憶があります。画風の影響もあると思うのですが、キラキラしたバレエの世界だけではなく、ものすごい暗ーいことも描かれていて夢中で読みました。

ハーイまりちゃん(上原きみこ作)

これもバレエ教室にあった。多分。ものすごく昔の作品だと思います。ストーリーももはや覚えていないけど、絵はすごかった記憶があります。

ハーイまりちゃんの特徴

  • 絵が綺麗

絵が綺麗なことしか正直覚えていないのですが、主人公が記憶喪失になって、バレエシューズで踊って転んでトウシューズで踊れと言われて踊ったらすごい!みたいなシーンがあったような。間違っていたらすみません。

この作品の続編が愛のエトワール、で、上記のエピソードはこっちだったかも?

この作品のタッチはかっちりきっちりして精密な感じ。ペンでガッチリ描いているのかな。。名探偵コナンに線の感じが似ている気がします。

 

今後読みたいバレエ漫画

まだまだ読んでいない作品があるので、絢爛たるグランドセーヌが終わったら取り掛かりたいのがこちら

Do Da Dancin’ !

槇村さとる先生の長編バレエ漫画。主人公の背景はGood Bless Youに近いものがありそうです。

 

トウ・シューズ

これも相当昔の作品だと思いますが、この作者の作品は「姫ちゃんのリボン」が有名でした。そっちはまぁ面白かったんですが、こっちは本屋で表紙を見た時点で無理やわ。。と思った作品です。

怖いもの見たさで読みたい。

画力がかなり必要なバレエ漫画

振り返ってみて、私にとってバレエ漫画にはバレエとして納得できる画力が一番大事なのだなと思いました。ストーリーはどれも基本的にはスポ根的な、いかにうまく行ってのしあがるか、になってしまうのは仕方ないとしてその過程の描き方ですね。

個人的には、バレエピアニストとかも漫画の題材になると思います。音大に入ってハンガリーに留学してバレエ学校で伴奏のバイトしている人いっぱいいました。かなり特殊な技能を必要とするので掘り下げて欲しいなぁと思います。

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