遅ればせながら気になっていたパリオペラ座のドキュメンタリー映画を観てきました。
観てよかった。感動しました。
今日はこの映画の感想です。ネタバレあります。
バレエを習っている方にはぜひ観てほしい映画です。
あらすじ
パンデミックがはじまった2022年のパリオペラ座を追っています。コロナ禍で数ヶ月の劇場閉鎖のあと、復活作品としてラ・バヤデールの準備を始めます。
映画のほとんどはこのラ・バヤデールの準備の様子を見せてくれます。
劇場閉鎖中はジャンプなどスペースが必要なパの練習、パドドゥの練習などができず、ダンサーは身体を元に戻せるか、不安な中でバヤデールのリハーサルが始まります。
ダンサー、先生、スタッフ一同頑張って準備するのですが、公演初日直前に再度劇場が閉鎖になり、一回だけ配信のみ、無観客での公演となってしまいます。
各幕ごとに別のプリンシパルが主役を踊るという事態に。
見どころ
パリオペラ座のプロダンサーのリハーサル
なんと言ってもたっぷりのリハーサルシーンです。ユーゴ・マルシャンのバリエーションのリハーサル、彼は口では不安げなことを話すのですが、いざリハーサルを観ると素晴らしい。
ソロルのバリエーション、ニキヤの蛇のバリエーション、ソロルとニキヤのパドドゥなどなどのダンサーの踊りと先生の指導をガッツリ観ることができます。
最後のパドドゥのリハーサルでは、何組かのソロルとニキヤのペアと、先生も男性と女性それぞれ一人ずつついていました。
先生が事前準備で一人で歌いながら振りを確認していたり。観ていてほっこりでした。
ダンサーへのインタビュー
所々にダンサーのインタビューが入ります。ラ・バヤデールは最後の影の王国のシーンでのコールドバレエが見どころの一つですが、コールドバレエのダンサーたちのインタビューも濃く、見応えがある。
最初のアラベスクを延々と続けるシーンで彼女たちが何を考えているのか、どんな気持ちなのかがよくわかります。
意外と私たちと変わらないこと考えてるんだな、なんて思いました。
ユーゴマルシャン、アマンディーヌアルビッソン、ドロテジルベールなどのプリンシパルへのインタビューももちろんあります。
初日で千秋楽のラ・バヤデールで誕生するエトワール
ポール・マルクというダンサーがブロンズアイドルを踊ってエトワールに任命されるのですが、リハーサルが圧巻です。
他の団員たちがじっと見つめる中、見事な踊りで拍手喝采を浴びます。
次に日本に来る時には彼の主演作を観てみたい。
意外とアットホームなパリオペラ座
この映画で一番驚いたのは意外とあったかいバレエ団だな、ということです。バヤデールのコールドのダンサー達に対して先生は「初めてなんだから失敗して当然よ。大事なのは舞台をみんなで作り上げること」とおっしゃいます。なんと優しい。日本のバレエ教室の発表会の方がよっぽど殺伐としているような・・・
この女性の先生はプリンシパルダンサーに対しての指導で、目線について指摘します。また別の場面では芸術監督のオーレリー・デュポンがリハでパドドゥを踊るソロル役のダンサーのニキヤに対する視線を大絶賛していました。
当たり前ですが、プロのバレエダンサーは技術や振り付けはできて当たり前でその上の目線や表現の部分を指導するのが先生なんだなと感じました。
感動的なオーレリーの言葉
頑張って、頑張って準備したラ・バヤデールが一回ポッキリの配信になってしまい、その後1年近く空いてからようやくお客さんを入れてのロミオとジュリエットがはじまります。
終演後のオーレリー・デュポンの言葉はとっても感動的です。
また、オーレリーがダンサーに指導する場面やアドヴァイスする場面がちょこちょこ出てきます。すごくいい感じなんですがなぜ彼女は芸術監督を辞めるのでしょうか。
本当に新章が始まる。オーレリーの後任は誰になるのか?
この映画を観ると、パリオペラ座はすごく暖かく、チームワークの良いバレエ団に見えます。オーレリーも信頼される良い芸術監督に見えるのですがすでに彼女は2022/7/31付けで退任が発表されました。
次の芸術監督は現在選考中のようです。
どんな方になるのか。
終わり
間違いなくバレエを習っている方は楽しめるドキュメンタリー映画だと思います。
正直前回の映画はかなり単調で、エンタメとしては楽しめなかったのですが、この映画は楽しめるし感動しました。バヤデールも上手に選んで使っていると思いました。
映画はそろそろ上演が終わってしまいそうなのですが、チャンスがある方はぜひ観てみてください。
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